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2021年 05月 27日
沙羅双樹の寺(アーカイブス)
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沙羅双樹の花を見に嵯峨野の東林院に行った折に、坊さんが話してた。

ディズニーランドで若い夫婦がお子様ランチを頼んだところ、ウエイトレスがお子さんがいないのに何故なのですか?

って聞くのね。夫婦には子供がいたんだが、病気で他界したために、命日に三人分を注文したんだ。

当然ウエイトレスが、お子様ランチを届けたのは言うまでもなく、ご夫婦は喜ばれたらしい。

沙羅の花を見ながら、お坊さんがこの話の後に有名な平安時代の句を読み上げた・・・

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久し

からず。ただ春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。

(訳)釈迦が説法をした天竺の祇園寺の鐘の音には、この世の全てのものが消滅流転すると言う真理を 告げ

る響きがある。釈迦が入滅したときにその死を悲しんで、俄かに白色に変わり、枯れてしまったという 沙羅双

樹の花の色は、どれほど栄えたものでも必ず衰える時が来るという、理をあらわしている。

 力を誇っている人も永遠という事はなく、それは春の短い夜の儚い夢のようなものである。

勇を奮う者も最後には滅びてしまう。

それはただ、風の前であっけないく吹き飛んでしまう 塵の存在と同じである。





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平家物語の最初のくだりなんだが、なにも特別なお話でなくごく普通のはなしなのね。

おれたちの日常なんて、晩飯は、どんなだろうかとか、先日撮った写真はどーだっただろうって見たり、おもむ
ろに昔読んだ本を読み返してみたり、歯磨きをしてみたり、おりょうちやんは、今どーしているのだろうと考えて
みたり。
俺は何をして生きてきたのだろうと、考えて、後悔したり・・。
そんなことしかすることがないんだ。
あなただってそーだろ。
おれたちは、こーして隊列を組んでみんな墓場に行くんだが、それでも、また今日は何をして過ごそうかと
か・・・晩飯はなんだろうかとか
なんて考えたりするけれど、あとは、もうどーでも良くなってしまうんだ。
実生活の澱みとたまに切り離されたような夢のような世界をくりかえし、おれたちの人生は間違いなく簡素化され干からびていくわけだ。
おっと、りょうちゃんにメールしなきゃ。
今日も、こーしてうつろいのなかに消えていくわけだ。。。

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ひとの生き死にも、朝咲いて一日で落ちる沙羅の花の如し・・・
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様々な生き死にがある
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今にも落ちてしまいそうな花の後ろには、つぼみが膨らんでいる・・・
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20150609


by grace_land | 2021-05-27 23:32 | 京都 | Comments(1)
Commented at 2015-06-30 00:36 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。


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